努力しても生活ができないときは生活保護の申請をしましょう

  先日、私が成年後見人に選任されている、成年被後見人の生活保護の申請を某市役所の生活福祉課に行いました。その後、約2週間で支給決定の通知があり、市役所で受給の手続きを行ってきました。今回は成年被後見人さんの預金通帳の発行が間に合わなかったため、現金での受領となります。

 なお、銀行によっては成年後見人が選任されると、キャッシュカードを使用できなくなることもあり、銀行の選び方も成年後見人の重要な職務となります。

 生活保護とは、様々な事情により生活に困っている方に対して、最後の砦となる制度です。しかし、この制度を悪用する方が多かったのも事実です。ニュース等でもたびたび話題となりますが、本当に困っている方が受給できずに亡くなってしまうという事例があるのも、また事実です。

 今回、初めて申請の手続きのため、相談に市役所に言って感じたことがあります。相談の敷居は高いが、申請までできたらその後はスムーズ。

 行政としては、保護以外の方法(働いたり、親族等の援助をうけたり)を最優先してもらうため、制度の説明を丁寧にしなければなりません。もちろん、不正受給を防ぐという意味もあり、私も一納税者としては職員の窓口での頑張りに頭が下がる思いです。しかし、まじめな相談者ほど、丁寧に説明を受け、保護以外の他の方法が無いかと言われると、一旦考えるために帰ってしまうだろうと感じました。今回は、私が成年後見人として、本人の財産状況や親族の状況等を調査し、どうにも生活状況を改善できないことが分かっていたため、相談した日にそのまま申請までできましたが、自分のことであったらここまで頑張れたかは自信がありません。

 もし、現在、生活に困っている方、あるいは、この先コロナ禍で生活がどうにもならなくなったときは、ためらわずに、現在お住いの管轄の福祉事務所(市や区の窓口)に相談に行きましょう。生活保護は憲法第25条で認められている、「生存権」を実現するためのひとつの制度です。憲法第25条を受け、生活保護法だけでなく、その他社労士としてはおなじみである、労働基準法労働者災害保険法雇用保険法健康保険法国民年金法厚生年金保険法等、生存権を実現させるさまざまな法律があります。

 

→憲法第25条

1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 なお、生活保護は世帯単位で支給が決定されます。そのため、親族から援助を受けられるかどうかは重要なポイントです。今回の成年被後見人は、これまで援助をしていたのが実質的に同一世帯である兄弟姉妹というケースでした。(実質的というのは住民票は別のため)どのような場合に援助するべきかどうかは、ケースバイケースでしょうが、民法の扶養義務(民法第877条)によれば、兄弟姉妹であっても、扶養義務はあります。これまで援助していた兄弟姉妹は、一般的な年金受給者であるので、自分の老後資金だけでも心もとないのに、常識的にもほぼ寝たきりの兄弟姉妹の入院費等を含む金銭的な面倒まではみれないでしょう。少なくても、医療扶助の現物支給だけでも受けられると、生活費の工面が楽になります。

 民法の規定は現代の日本の生活様式には全くあっていない、前時代的ではあるとは思いますが、法律的にそうなっているので仕方ありません。行政にこの点を指摘されたら、正直に生活の現状を説明しましょう。怒って暴れたりする方も多いようですが、意味がありません。冷静に話しましょう。

 

2.11.19追記

 生活保護を受給している男が、禁止されている自動車の運転中、男性をはねて死亡させた男の裁判が行われたというニュースがありました。男は生活保護費で賠償したいと被害者の父親に言ったそうです。

南日本新聞社リンク→大学生の命を奪った居眠り運転 生活保護の男が禁止されていた車を借りた理由は「雨にぬれたくなかった」

 

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