衆議院議員の育児休業に見る育児介護休業法

Yahooニュースリンク→国会議員カップル「育休とりたい」 制度ないけど計画

衆議院議員が育児休業を取得したいということがニュースになっていました。育児介護休業法はあくまで「労働者」(日々雇用されるものは除く)のための法律なので労働者ではない議員には適用されません。よって、みだしの通り制度がないので国会の都度欠席届を提出して対応するという。

議員の中には欠席届すら提出せずに欠席する者も多く、その点は評価できますが、労働者と違い、欠席しようが育児休業中であろうが議員報酬は減額されません。通常、労働者であれば一部の大手企業を除けば育児休業中は無給です(ノーワーク・ノーペイの原則)。

ただし、一定の条件をクリアしている者には雇用保険法から、育児(介護)給付金の支給があります。以上のことからだけでも、議員は労働者ではなく事業主の立場と同様に考えられます。

国民のために働けないのなら、議員辞めて一生育休取ってればとしか。他にも議員やりたい人いっぱいいるし。

また、育児をする労働者であればだれでも育休を取得できるかというと、そんなことはありません。休業を取得しづらいといった、会社の環境に関することは別の機会に話すとして、制度的にそもそも取得できないこともあります。例えば、育児介護休業法の第5条1項(育児休業の申出)によると、期間を定めて雇用される者の場合、

(1)雇用されて1年以上である者 

(2)子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(略)

でないと申出をできないという制約があります。労働者に対する法律を立法府の議員に当てはめるのもどうかと思いますが、前回の衆議院議員選挙からは1年超。子が1歳に達する日(※下記条文参照)まで解散が無ければ議員であることを考えますと、一応申出することはできるかもしれません。

が、当選直後であるとか、任期満了1年前等であったならどうするんでしょうか。特に解散がいつあるか分からない衆議院ではどうなんでしょうか。

といったことを考えると、育児介護休業法より相当程度有利な法律を制定しなければ議員には適用できそうにありません。

なお、勘違いされている方が多いのですが、いわゆる非正規と呼ばれる労働者であっても上記(1)(2)の条件をすべて満たし、他の条件も満たしていれば取得できます。平気で労働者の無知に付け込み、育児休業等の労働者の権利を行使させない使用者が多いので注意が必要です。

国会議員が育児休業を取得する是非は今後の議論次第として、宮崎議員が自らの育児休業の為に議員立法を目指すというのは立法府の議員としてあってはならないことです。国会は私的な欲求を実現させる場ではありません。

どうしても議員立法を目指すのであれば、次回の衆議院議員選挙後とするべきです。議員の地元の有権者に公約として示した上で国民に信を問うべきでしょう。

そもそも立場的に弱い労働者を守るための法律を強者である者に適用、もしくは似たような法律(それも労働者のそれと比べて議員に相当程度有利な)を制定することに強い違和感を感じ得ません。

そのようなことに時間と労力をかけるのであれば、立場の弱い労働者を守るための法律制定を目指すべきでしょう。ワタミの過労死裁判等ブラック企業は後を絶たず、またそれを擁護するかのごとく「すご腕社労士の首切りブログ モンスター社員解雇のノウハウをご紹介!!」のようなブラック社労士が話題になる時代です。

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
第5条1項

労働者は 、その養育する1歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用されるものにあっては、次の各号にいずれにも該当するものに限り、当該申出ををすることができる。

(1)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者

(2)その養育する子が1歳に達する日(略)を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(当該子の1歳到達日から1年を経過する日までの間に、その労働契約が満了し、かつ、当該労働契約の更新が無いことが明らかである者を除く。)

16.2.11追記

週刊文春WEBリンク→育休国会議員の“ゲス不倫”お相手は女性タレント

きました、宮崎謙介衆議院議員。国会議員の育児休業の話が出てきたときに感じた違和感はこれだったんだと妙に納得。労働者を守るための法律を自身の売名行為に利用したといえるでしょう。このようなクズがいるような国会。議員定数半分に削減すれば、マシな議員が増えるんでは。生、育児休業取得できそうで良かったですね

国会議員を一つの職業としかとらえられないような宮崎謙介衆議院議員。出産直前に不倫されたのは気の毒ですが、国会議員という立場を考えれば妻の金子恵美衆議院議員も同罪です。議員ごっこをみせつけられる国民はそこに不在です。