年金相談会でのよくある話1

年金相談会でのよくある話1

年金相談会事例1 裁定請求

60歳前1~2年となると、給料振込みに指定している銀行や地元の信金、大企業ですとお勤め先の企業年金等から「年金相談会に参加しませんか」、というお誘いがあるかと思います。普段私は労務管理の仕事を中心にしておりますが、先日久しぶりに年金相談会の相談員として参加しました。相談会というと専門家でも答えられない難しい相談ばかり。。。と思われがちですが、その相談の多くは「年金のもらい方」(裁定請求をしたい)といった、基本的なものがほとんどだったりします。

ちなみに久しぶりの相談に備え、事前に回答を用意した在職老齢年金と給与の関係や、障害認定の改善が望まれる障害厚生年金、保険料免除等の質問はありませんでした。そこで、裁定請求の仕方を今回のテーマとします。

裁定とは・・・年金請求書(事前送付用) が送付される。

本来、年金給付を受ける権利は保険料納付済期間を満たし、一定の年齢に達すれば自然に発生するはずです。しかし、実際には厚生労働大臣が裁定(確認すること)しなければ、年金は支給されません。そこで、年金請求書(事前送付用)が年金支給開始年齢の3箇月前に送付されることになります。下記のリンクにサンプルがありますので、確認してみましょう。

リンク→日本年金機構(裁定請求書)

事前送付用の年金請求書はあらかじめ、これまでの年金加入記録が印字されています。昔は自分で書類を揃え、すべて自分で記入する必要があり、また旧社会保険庁の職員のずさんな年金記録管理も手伝い、「もれ」や「誤り」が多く発生したのは記憶に新しいところでしょう。年金欲しければやるよといった感じでした。現在は日本年金機構と組織も変わり、格段にサービスの向上がなされ、分かり易くなっています。

なお、事前印字された年金請求書(事前送付用)は再発行できませんので、送付されたら大切に保管してください。紛失した場合は、年金事務所で新たな別様式の用紙をもらえますが、すべてご自身で記入することになります。事前に印字されている加入記録に誤りがなければ、残りの部分を記入して年金事務所に提出(郵送可)します。

65歳前の加給年金

記入時に、毎回と言っていいほど質問される点は「生計維持証明欄」への記入についてです。これは厚生年金において、加給年金の対象となる配偶者や子がいるときに記入が必要となります。現在、新規裁定時に厚生年金の定額部分(1階部分)の支給されることは一部の例外を除きありません。したがって現在、男性62歳、女性60歳から支給される特別支給の報酬比例部分である老齢厚生年金の裁定を受ける方は船員や障害者等に該当する場合を除き記入の必要はありません。

例外的に障害者・長期加入者・船員等の場合、65歳前であっても加算されることがありますが、その場合はお近くの年金事務所に確認してみましょう。また、サラリーマン等のお勤めを経験したことのない、国民年金の老齢基礎年金のみ支給される方(ずっと自営業者等)は加給年金はそもそもありませんので残念ながら関係のない話となります。

65歳以後の加給年金

65歳前から老齢厚生年金を受給していた場合、65歳時には「ハガキ」で年金の請求書が送付されます。65歳となると、加給年金の支給があり得ますが、配偶者の要件は65歳以下となりますから、若い妻(夫)がおすすめですね。加給対象者がいる場合、「加給年金対象者の欄」に記入します。対象者は65歳未満の配偶者又子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子及び20歳未満で障害等級1級若しくは2級に該当する状態にある子)です。

なお、生計維持関係が認められるためには、原則年収850万円未満でないとなりません。

厚生年金法第44条

1 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(略)その者によつて生計を維持していた者の65歳未満の配偶者又は子(略)があるときは、第43条の規定にかかわらず、道場に定める額に加給年金額を加算した額とする。~

2  前項に規定する加給年金額は、同好に規定する配偶者については22万4,700円に国民年金法第27条に規定する改定率~を乗じて得た額(略)とし、同項に規定する子については1人につき7万400円に改定率を乗じて得た額(そのうち2人までについては、それぞれ22万4,700円に改定率を乗じて得た額とし、~)とする。