「過労死等が疑われる企業」初公表

昨年の第4回長時間労働削減推進本部において、「『過労死等ゼロ』緊急対策」がとりまとめられていました。これにより、平成28年10月1日以降、「過労死等ゼロを目指す取組の強化」のひとつとして、厚生労働省等のHPに労働基準関係法令違反に係る公表事案を掲載することになっています。

これまでも、男女雇用機会均等法等でセクハラやマタハラ防止規定違反についても公表する仕組みがありましたが、それの過労死版といったところでしょうか。

労働関連の法律は使用者に対する罰則が総じて軽く、かつ労働基準監督署の監督官も少なく対応しきれないため、ほとんどの労基法違反案件は見逃されてしまうという悪循環となっています。公表すればすぐにどうといったことは無いでしょうが、労働力人口が減少していくな中、いわゆるブラック企業を選ぶ労働者はいなくなるので、自然と淘汰されていくでしょう。

厚生労働省長時間労働削減に向けた取組
 

公表された企業(事業場)は全国で334社。神奈川県労働局管轄では8社。実感としては少ないような気もします。毎月リスト更新されるようなので、気になっている企業の人事担当者の方は公表される前に労務監査等の対策をしましょう。ポイントは規程等を整えることではなく、実態としてどうなのかという点です。今回公表事案にも虚偽の書類を提出している企業(事業場)があったようです。

なお、行政による企業名の公表には処分性は無いとされているので、公表されると、取戻しはできません。過去の判例でもそのようになっているようです。でも、公表されると、企業に実害ありますよね。

石綿(アスベスト)についても、「石綿ばく露作業による労災認定等事業場」ということで、公表されることがあります。過去に石綿を使用しており、その作業によって労災事故が起きていた場合、公表されることがあります。

厚生労働省リンク→石綿ばく露作業による労災認定等事業場一覧表

実際に石綿を使用していた事業場ならともかく、前職等で石綿のばく露作業をしており、その後、たまたま在籍していた事業場で発症した場合で、最終事業場となってしまっていた場合に、その事業場が公表される事例があります。

石綿ばく露作業による公表は厚生労働省の本省管轄ですが、実務は各都道府県労働局となります。また、実際のヒアリングは事業場を管轄する労働基準監督署となります。公表される前に、事前に問い合わせが手紙でくるので、公表されることに納得がいかない事業主の方がいらっしゃいましたら、公表される前に弊所にお問い合わせください。

実際に公表されなかった実績があります。ただし、石綿の場合は、石綿による労災が、当該事業場で発生していたことに争いがない場合は、公表されることにはなるとは思います。