国民年金・厚生年金って得なんですか?

何年か前に「(公的)年金って得なんですか」っていう質問をよく受けました。あの未納問題が騒がれていたころです。最近になって日本年金機構から個人情報が流出したからなのか、マイナンバー制度導入が近づいてきたからなのかはわかりませんが、また同様の質問をよく受けるようになりました。

結論から言うと、得とか損とかではありませんと答えています。えっ?答えになっていないって。それは法律名を見ると一目瞭然で、被用者年金である厚生年金は「厚生年金保険法」とあります。また、国民年金は国民年金法とあり保険の文字がありませんが、厚生年金の被保険者は同時に国民年金の第2号被保険者となり、やはり保険であることが分かります。

保険ですから預貯金とは違い元本保証といった金融商品ではありませんね。

また、この保険は民間の保険とは違い、本来は自由加入ではありません。もし、加入・非加入を国民が選択できるということになると、国民年金は長生きしそうな方や老後に自ら所得を得られない方、障害基礎年金・遺族基礎年金をもらえそうな方ばかり加入するいわゆる逆選択状態となり、その財政が破たんするからです。

遺族年金目的で加入させるって保険金目的の殺人ですね。ミステリー小説のネタで使えそう。

なお、厚生年金であれば会社の給与から勝手に天引きされます。中には社員の給与から天引きだけして、納付しない会社もあるそうですが。。。

話しは少しそれますが、最近、会社が社会保険料を滞納すると、かなり厳しめの取り立てがあります。いきなり口座差し押さえとかもあります。それで、資金繰りがどうにもならなくなって、倒産みたいな事例が出てきました。

払いたくない気持ちは分かります。いや、払いたくても払えないといったほうが良いでしょうか。とにかく、社会保険料が高すぎるということはあると思います。消費税とか、所得税は選挙のたびに話題になりますが、それより、はるかに社会保険料のほうが高いんですがねぇ。

下記にある通り、国民年金法の目的は憲法第25条第2項の理念に基づきとあります。話は変わりますが、安全保障関連法案に反対し憲法第9条を守ろうとしている方々は、憲法第25条第2項の理念に基づき、当然保険料を納付している(いた)はずですから、みなさんも納付しましょう。

所得が低い方は保険料免除が受けられるかもしれませんのでお近くの年金事務所に相談してみましょう。

損か得かということでいうと、 先ほども少し触れた障害基礎(厚生)年金・遺族基礎(厚生)年金の話もしなければなりません。これは損得ということで語るべきではないのでしょうが、やはりご自身が障害認定された、被保険者が死亡しその配偶者等で一定の要件を満たす遺族となった等に支給される年金もあるということを知っておかねばならないでしょう。

先日も静岡県西伊豆町で動物よけの電気柵により7名が感電、うち2名が死亡という痛ましい事故がありました。この事故も障害基礎(厚生)年金・遺族基礎(厚生)年金と無縁ではありません。長くなりましたので、今回はここまでにしますが、次回は障害基礎(厚生)年金・遺族基礎(厚生)年金についてもう少しお話しいたします。

国民年金法 第1条(国民年金制度の目的)

国民年金制度は、第25条第2項に規定する理念に基づき、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。