昭和41年4月1日以前生まれの被扶養配偶者(いわゆる専業主婦)は、かつて国民年金の任意加入の対象者とされていました。法改正後、現在では自身の保険料納付済み期間等に応じた老齢基礎年金を受給することになりましたが、任意加入期間中は年金額に反映されない合算対象期間とされることになったため、年金額が低額になってしまうことになりました。

 老齢厚生年金の受給権者等(主に夫)でその厚生年金保険の被保険者期間が240月(中高齢者の特例あり)以上の加入期間がある者に65歳未満

配偶者(主に妻)がいる場合に加給年金が支給されます。「65歳未満の」とあるので、配偶者(主に妻)が65歳となると加給年金は支給されないことになります。そこで(主に)「夫」に支給されていた加給年金を、(主に)「妻」の老齢基礎年金に振り替えて加算することになりました。これを振替加算と呼びます。

 その振替加算に支給漏れがあったというのが今回の事象です。平成27年10月1日に被用者年金一元化により共済年金が厚生年金に統合されたことに伴い、過去のデータを点検した結果判明したものです。過去の縦割り行政の弊害でしょう。約10万人、600億円という過去最大の支給漏れ事件となりました。

 裁定請求には戸籍謄本や住民票、所得証明書等が必要となり、裁定請求書にも細かな記載を求められます。受給者本人で対応すると、それなりの時間が必要となることから、われわれ社会保険労務士にも請求代理依頼があります。しかし、公的な年金である以上、支給対象になったら自動的に振り込まれるような仕組みになってもらいたいものです。われわれの仕事は減りますが、それが年金受給者の利益となることでしょう。

詳しくは、下記リンクで確認してください。

日本年金機リンク→振替加算の総点検とその対応について

→17.11.19追記

実際に支給漏れとなった方のもとに、過去の源泉徴収票や支給漏れ金額等の案内が送付されています。

 振替加算の支給漏れですから、この書類が送付されているのは65歳以上の方ということになります。お金をもらえたから良いだろうと言わんばかりの簡素な説明しかされていません。後は自分で勝手に所得税の申告やれと丸投げしています。

 修正申告や更正の請求等、今回の対象者が数年分も遡ってできるのでしょうか。ましてや社会保険料の再計算にはまったく触れられていません。遅延損害金の説明もありませんが、審査請求しろとでも言うのでしょうか。(不服申し立てについても何ら記載がありません。)

 そもその手続きを間違えたのは共済年金側なので、共済年金にやらせるべきではないでしょうか。できないのであれば税理士に委託する報酬分も上乗せ支給するべきでしょう。今回の対象者の多くは65歳以上の(元)専業主婦でしょうから、結果的に今後何の手続きをしなくても問題にはならない(受給者が損する場合はある)ということで、その辺をあえて触れていないとしか思えません。