昨日、支部会の研修会に参加しました。少し前に購入した週刊ダイヤモンド「人事部VS労基署」をようやく読み始めたところ、タイムリーに労働基準監督署監督課長の研修会。悪いことをしているわけではないのに、労基署で監督官を前にすると何やら緊張しますね。

厚生労働省リンク→「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」 

 平成29年度の神奈川労働局の重点施策は一言で言うと政府の方針通り「働き方改革」。過労死等が疑われる企業が公表されましたが、それにもつながる一連の施策です。

 ガイドラインの中に「労働時間の考え方」の記載があります。これは過去に何度も労使の間で問題となっていたことではありますが、正式にテーブルにのったことに意義があります。使用者が黙示的に指示してもそれは労働時間ですし、いわゆる手待ち時間や研修の受講であっても、使用者の指揮命令下に置かれていれば、それは労働時間であるといういつもの考え方です。

 監督課長の穏やかで優しい口調でのお話が逆に政府のブラック企業撲滅に向けた真剣さを感じさせました。今回は労基署も本気ですね。これを迎え撃つわけではありませんが、一般的に使用者側になる社会保険労務士も心して準備しておかなければ顧問先が追加の人件費の支払いができずに倒産ともなりかねません。その場合、社会保険労務士も損害賠償責任を追及される危険性もあります。

 監督課長のお話で興味深かったのが、現在の臨検です。臨検とは、みなさんも経験あると思いますが、労働基準監督官が定期・不定期に事業場に調査に立ち入り調査に来る例のアレです。一昔前、私が労働者側の代表や人事担当者をしていたときは労基署はお飾り的なイメージでしたが、例の大手広告代理店の事件を受け、戦闘モードになったという感じを受けました。

 長時間労働による自殺等の労働災害が一番の問題ですが、事例として多いのはやはり賃金不払労働(サービス残業)でしょう。特に未だ多くの企業で採用されている「自己申告制により始業・就業時刻の確認及び記録」を行っている場合は定期的に使用者による実態調査をし、適正に補正しておかないとまず「刺される」と思っておいたほうが良いでしょう。家族等からの申告でもそれなりの証拠があれば臨検しているそうなので、思うところがある企業は要注意です。「払えない」「不公平だ」等の言い訳は監督官には通用しません。そうなる前に、賃金規程等を見直す準備をするしかありません。ただし賃金規程等の見直しは労働者の不利益変更となる場合が予想されるため、変更には1~2年必要となります。見直しの方向としては、「同一労働同一賃金」の流れに沿うと、「職務給」の導入する方向になるのではないでしょうか。

 借入金の過払金問題が一息ついてきた今、ブームになりつつあるのが未払賃金(サービス残業代)請求です。この請求の時効は2年です。未払賃金を支払えずに倒産するなんてことにならないよう、心当たりのある企業の対策が急がれます。